損害賠償と損失補償

損害賠償と損失補償は、一般的にはどちらも同じような意味合いでとらえられがちですが、実は法的な意味や適用される状況において明確な違いがあります。
損害賠償は、不法行為などにより被害者に生じる損害を金銭などで穴埋めするというものです。主に民間のトラブルや紛争に関するものに適用されてきましたが、後に行政活動などにも適用されるようになりました。一方、損失補償は、主に国や公共機関が公的な目的のために個人や法人に対して何らかの権利や利益を制限したり、財産を収用したりする際に、その結果として生じるであろう損失を補償するものです。
損害賠償は、損害が発生した後に加害者がその責任を認めるか、または裁判所などが賠償責任を認定した後に支払う、つまり事後的な対応になります。一方損失補償は、補償対象者が事業により被る損失や費用負担を事前想定して支払われる、つまり事前対応になります。